研究科長挨拶

 日本の経済と社会を建て直すため、地域の役割が注目され、官民あげて地方創生の取組みが行われてきています。国立大学法人も各地域において、中心的なプレーヤーのひとつとしての役割を果たすことを求められる時代になっています。香川大学も、「持続可能な地方分散型社会の実現に貢献する人材の育成と研究の推進」をビジョンに掲げ、DRI(デザイン・レジリエンス・インフォマティクス)教育に注力し、大学全体として地域貢献を進めています。

 そんな中、大学院地域マネジメント研究科は、中国四国地方で唯一のMBAが取得できる経営系専門職大学院として発足し、国立大学法人としては全国で4番目に開校したビジネススクールです。大学基準協会による経営系専門職大学院の認証を受け、要求される研究教育水準を満たしているという評価結果をいただき続けてきました。設立された当初としては珍しく、地域活性化に貢献する教育・研究に、他大学に先んじて焦点をあてた初めてのビジネススクールであり、歴史を刻み続けた結果、そのことが他に類を見ない特徴となり、この春には無事21期生を迎えています。本研究科には、早くから地域活性化のための教育研究に取り組み、切り開いてきたパイオニアとしての自負があり、学生と教員が共に培ってきた経験の蓄積は大きな財産となっています。修了生は600名を数えるまでになり、それぞれが現場で目覚ましい活躍をされています。今後さらに、地域活性化への取組みを加速させ、その成果をより大きく、発展させなくてはなりません。具体的には、香川大学全体として、地域におけるアントレプレナーシップの促進や、世代を超えてのリカレント教育への注力など、過去20年間取り組んで来た経験とネットワークを最大限に活かし、さらに地域貢献に注力して参ります。

 学生の多くは昼間に仕事をしながら熱心に学ぶ社会人です。最近は女性の割合が増加傾向にあるとともに、世代、業種という点でも、多様性がますます広がっています。本研究科は、地域活性化を主体的にリードする人材を育成するというミッションの下、民間企業のような営利組織だけでなく、自治体や行政機関、NPO法人や、学校、病院といった非営利組織の方々、経営者や幹部職員、一般職員、学校長といった、さまざまなバックグラウンドを持つ学生が学ぶ場となっており、貴重なネットワーク形成の場ともなっています。現役学生が修了生も交え、組織の垣根を越え、組織の都合のみに捉われることなく、既存組織や事業の運営のみならず、起業や新規事業、そして地域について語りあり、深く交流、切磋琢磨し合い、充実した2年間の学生生活を送ることができる場となっています。協力し合える仲間が見つかり、学生同士による地域活性化のプロジェクトが創発される土壌が育まれています。

 2年間の正規プログラム修了により、MBA(Master of Business Administration) と称する経営修士(専門職)の学位が授与されます。修了生は地域のリーダーとして、必ずしも地域の枠に捉われることなく、活躍することが期待されます。あるいは、大学に新たに誕生した創発科学研究科の博士後期課程への進学もありえます。香川大学大学院地域マネジメント研究科で学び、人生の新たなページを開いて欲しいと思います。



2024年4月
香川大学大学院
地域マネジメント研究科長 中村 正伸